子どもはなぜ毎晩おなじお話をせがむのでしょう
おなじ本を、毎晩毎晩。くり返しが小さな子どもの頭の中で何をしているのか、そしてその間、親の正気をどう保つか。
文:Justin Plute · · 1分で読めます
20回目の読み聞かせは、1回目のやり直しではありません。20層目なのです。
小さな子どもがいる家には、どこにでも「あの本」があります。うちでは『ピーター・パン』でした。背表紙はひび割れ、ページは2回テープで貼り直され、歯みがきをしながら廊下から暗唱できる、あの本です。
ほかの本もすすめてみたはずです。もっとすてきな本。しかけ絵本。子どもは礼儀正しくそれらを眺め、手をのばしてその向こうの、おなじ本を取ります。また。
私は親ではなくおじさんです。つまり、遊びに行くと「この子はこれがいいって言うから」という言葉とともに本を手渡される立場です。姪のメリッサは、何年ものあいだ、毎回かならず『ピーター・パン』でした。彼女は今、UW(ワシントン大学)に通っています。昔は少し気が変になりそうでした。でもいつからか、これは小さな子どもが1年のうちにすることの中で、いちばん役に立つことのひとつなのだと思うようになりました。
子どもは、おなじ本から何を得ているのでしょう?
大人はお話を1回読んで、筋書きを持ち帰ります。小さな子どもは、読むたびにちがうものを持ち帰ります。
最初の数回は、何が起きるか。次に、言葉そのもの。あなたの文を先回りして言い終え、飛ばすと訂正してきます。次に絵を、細部まで。あなたが気づかなかった、どのページにもいる小さなねずみも。それから気持ち。6ページ目でどうしてこの子は悲しいの、それってずるくない?やがて構造。お話をあなたに語り返しはじめ、おなじ骨組みで自分のお話を作りはじめます。
20回目の読み聞かせは、1回目のやり直しではありません。20層目なのです。
知っているお話は、なぜこんなに落ち着くのでしょう?
おやすみ前の時間は、子どもが決められないことだらけです。いつ明かりが消えるか。自分が眠いかどうか。明日が何の日か。お話は、子どもが完全に自分でコントロールできる、ただひとつのものです。一言一句を知っている。何ひとつ、自分を驚かせることはできない。
小さな子にとってその確かさは、新しいお話にはない安らぎです。
ゆっくり見ること
これにぴったりのキャラクターがいます。Oko(オコ)は、まるくて赤くて、とても大きな目がひとつあり、森にかくれている文字をさがしています。急ぎません。あわてて10個見つけるより、1個をきちんと見つけるほうがいいのです。彼をそう書いたのは、お気に入りの本を読み返す子どもがしていることが、まさにそれだからです。ゆっくり見て、ほかの人が通り過ぎたものを見つける。
40回目の読み聞かせを、どう乗り切りましょう?
まかせてしまう。4、5歳になるころには、たいていの子はお気に入りを記憶から「読む」ことができます。読ませてあげてください。自分の番には、わざとまちがえて、子どもに見つけてもらいましょう。
ひとつ変える。登場人物に風邪をひかせる。ささやき声で読む。犬に「ニャー」と言わせる。眠気がさめますし、お話は曲げられるものだと子どもに見せられます。
置きかえずに、となりに足す。「いつもの本、それから新しいのを1冊」。お気に入りは守られ、新しい本にも出番がまわってきます。
そして、終わりに気づく。ある夜、子どもはほかの本を選び、古い本は静かに棚に戻ります。その本とはもう済んだ、ということです。気づいておく価値があります。二度と戻ってこないのですから。
Justin Pluteは、StoryToonsの創業者です。自分の子どもはいませんが、甥と姪が24人います。